循環器・川崎病
小児医療の発展により、小児に必要とされる医療は多様化しています。それとともに、
小児医療では「高度医療の集約化・重点化」が進められてきています。高度医療の質を確
保し、医師の負担を軽減するためには、集約化・重点化が必須ですが、一方で患者さんの
医療へのアクセスに支障が生じることが懸念されています。
当科は、患者さんの医療へのアクセスを容易にし、必要に応じてより高度の医療(診断
、治療)につなげるための循環器病学を学んでいく場所と位置づけることができると思い
ます。そのためには、ベッドサイドの診断学、心電図、胸部レントゲン、超音波などのフ
ァーストラインの検査による診断学をしっかり身に着けることがまず必要です。そしてよ
り高度な診断と治療(心臓MRI、核医学検査、心不全の薬物治療、外科的治療、カテーテ
ル検査と治療、不整脈のカテーテルアブレーション、染色体の微小欠失の同定など)を行
う専門的施設にスムーズに橋渡しをすることで患者さんに貢献することができると考えて
います。
当科を訪れる患者さんは、先天性心疾患をはじめとして、不整脈、代謝・内分泌疾患の
心臓病変、21トリソミーなどの染色体異常にともなう心疾患、神経・筋疾患に伴う心臓病
変、ミトコンドリア病、心筋症、心筋炎、心臓腫瘍、膠原病に伴う心臓病変、感染性心内
膜炎、血圧の異常(生活習慣病、OD)、原発性肺高血圧症など多岐にわたっており、比
較的軽症な患者さんから、最重症の患者さんまで、多くの循環器疾患の症例を経験するこ
とができます。また川崎病は循環器疾患というよりも全身性疾患であり、疾患を通して学
ぶことは数多くあります。さらに近年では、心疾患を含む医療的ケア児への在宅医療も増
加しており、そのような患者さんのニーズに対応することも当科の課題となっています。